Foo Fighters - Walk 和訳
一年以上放置してしまったことを反省しているので、これから毎週1記事書いていくように心がけようと思います。つづくかな。
今日は Foo Fighters の Walk という曲を和訳します。昔からyoutubeで聴いてた曲だけれど、つい最近この曲が収録されているアルバム「Wasting Light」を借りて改めて聴いていたらやっぱすごく好きな曲だな...と思って、この気持ちを誰に伝えればいいんだろう...そういえば昔ブログやってたじゃないか...という流れで一年ぶりの記事を。
まず Foo Fighters というバンドは、Nirvana のドラマーであったデイヴ・グロールが、カート・コバーンの死による Nirvana 解散後に、新たに結成したバンドです。Foo Fighters ではデイヴ・グロールはギターボーカルとしてフロントマンをやっています。そしてこの Wasting Light というアルバムはかなり特別で、レコーディングに Nirvana のベーシストであったクリス・ノヴォセリックを迎え、プロデューサーも Nirvana のアルバム「Nevermind」をプロデュースしたブッチ・ヴィグに依頼したそう。すごい。歴史を作ったメンバーがまた集まる感じ。
そういうメンバーで作ったからこそ、このアルバムの最後の曲にこの「Walk」がふさわしいんだな、とかいろいろ感じました。
では僕の和訳を読んでみてください。
[verse1]
A million miles away
Your signal in the distance
To whom it may concern
I think I lost my way
Getting good at starting over
Every time that I return
百万マイルも離れた
お前の合図が遠くに見える
仲間に向けた合図だ。
俺は道を見失っていたみたいだ。
躊躇って元居た場所に引き返しては
考え直すことばかり上手くなってたよ。
[chorus1]
Learning to walk again
I believe I've waited long enough
Where do I begin?
Learning to talk again
Can't you see I've waited long enough?
Where do I begin?
またちゃんと歩き出さなきゃな
俺は十分すぎるほど待ったんだ
さあどこから歩いて行こうか
そしてまた話さなきゃな
見ての通りだろ?俺は十分に待ったよ
さあどこから話そうか
[verse2]
Do you remember the days?
We built these paper mountains
Then sat and watched them burn
I think I found my place
Can't you feel it growing stronger
Little conquerors
あの頃のことを覚えているか?
俺たちがこれらの山を築き上げた頃さ
とはいえ張りぼての山だったから
そいつが燃えていく時、ただ座って眺めるしかなかった。
やっと俺は居場所を見つけたみたいだ。
今度はどんどん強くなっているぜ?
いつまでも勝った気でいるなよ。
[chorus2]
Learning to walk again
I believe I've waited long enough
Where do I begin?
Learning to talk again
I believe I've waited long enough
Where do I begin?
また歩き出してやる
俺は十分すぎるほど待ったんだ
さあどこから歩いて行こうか
そしてまた話すのさ
俺は十分すぎるほど待ったんだ
さあどこから話そうか
[bridge]
Now,
For the very first time
Don't you pay no mind
Set me free, again
To keep alive, a moment at a time
That's still inside, a whisper to a riot
The sacrifice, the knowing to survive
The first decline, another sate of mind
I'm on my knees, I'm praying for a sign
Forever, whenever, I never wanna die
今、
これが初めてだ
俺にかまわずに
俺の好きにやらせてくれ。
今、この瞬間を生きる為
ずっと胸の内にあった囁きが騒ぎ出す。
犠牲も厭わない、生き残る術は心得ている
一旦沈んで、心を切り替えている
俺は跪いて、合図に向けて祈ってる
いつまでも、いつだって、俺は死にたくないんだ。
I never wanna die
I never wanna die
I'm on my knees, I never wanna die
I'm dancing on my grave
I'm running through the fire
Forever, whenever, I never wanna die
I never wanna leave
I'll never say goodbye
Forever, whenever
Forever, whenever
俺は死にたくない
俺は死にたくない
跪いて祈る、俺は死にたくない
自分の不幸も利用して
炎の中を突っ走って
いつまでも、いつだって、絶対に死にたくない
離れたくない
さよならを言いたくないんだ
いつまでも、いつだって
いつまでも、いつだってな
[chorus3]
Learning to walk again
I believe I've waited long enough
Where do I begin?
Learning to talk again
Can't you see I've waited long enough?
Where do I begin?
また歩き出すぞ
俺は十分すぎるほど待ったんだ
さあどこから歩いて行こう
また歌い出すぞ
俺が十分に待ったのがわからないのか?
さあどこから始めよう
Learning to walk again
I believe I've waited long enough
Learning to talk again
Can't you see I've waited long enough?
また歩き出すぞ
俺は十分すぎるほど待ったんだ
また歌い出すぞ
俺は十分すぎるほど待ったんだぜ?
__________________
和訳終わり。
サビのメッセージの直感的なわかりやすさに反して、いざ全体を訳してみようとするとなんとも解釈に困る箇所が多かったです。この"you"って誰に対して言ってるの?とか、どんな「合図」を求めているんだろう?とか。"paper mountains"って何…とか。
ここからはデイヴ・グロール目線でこの歌にどんな意味が込められてるのかを勝手に想像しながら、歌詞の考察をしていきます。僕は、曲を聴く側にとってどんな意味があるかじゃなくて、書く側にとってどんな意味があったかの方により興味があるので。
[verse1]
この遥か彼方から合図を送ってくる灯台のような存在は、遠くにいる家族でもかつての恋人でも意味は通るけれど、この曲はこの特別なアルバムの最後の曲なんだから、灯台はカート・コバーンのことだと考えたい。(アルバムのタイトル、Wasting Light は慣用句みたいなもんで、「明かりを無駄にしてるよ!」=「陽が出ている時間は有限だから無駄にするなよ!」という意味らしい。カートが死んで、長い時間が経って、どんどん遠い存在になって、かつて道を照らしてくれていた彼の光が消えかけているのを感じたから、ほんとうに消えてしまう前に Nirvana のメンバーを集めて行動を起こさなきゃ!って気持ちで製作したアルバムなんじゃないかな。)
「俺(デイヴ)はお前(カート)からの合図ではっと気づいた。いつからか進むべき道を見失い、同じことを繰り返すようになり、前へ歩むことを忘れてしまっていた自分に。」
[chorus1]
「どの道に進むかが重要なんじゃない。とにかく前へ歩き出すことが大事だったな。
ずいぶん長いこと休憩しちまったようだ。かつてお前と歩んだように、俺はまた歩き出すよ。
もう十分時間はかけたから、これ以上悩むのは終わりにして、話を始めるよ。」
[verse2]
1番に出てきた"you"がカートを指していたのに対して、おそらくここ2番以降からの"you"は馬鹿で商業的なこの世間とか社会とかを相手取って歌っているように思う。なぜそんな解釈を僕がするのかというと、そうしないと"Little conquerors"と言う意味がわからないと思ったから。verse2の最後2行は、「俺はどんどん強くなってるぜ?わかってるか?ちっぽけな支配者気取りさんたちよ?」という挑発的な感じがすごくするので、それなら2番の歌詞は丸ごと"支配者気取りさんたち"に向けたメッセージだとみなして読むべきかもしれないと考えた。
「支配者気取りの皆さんよ、あの頃のことを覚えてるか?俺ら(Nirvana)は瞬く間にこれらの偉業を成し遂げた。けど俺らは弱かったから、おまえらに都合よく利用され、使い潰されていくのを黙って耐えることしかできなかった。」
「俺は今度こそ揺るぎない居場所(Foo Fighters)を見つけられたみたいだ。どんどん強くなってるのがわかるか?いつまでもおまえらみたいな、ちっぽけな人間たちに支配されやしないからな。」
[chorus2]
"支配者気取りさんたち"に向けたchorus2は、chorus1とほとんど歌詞は変わらないのに意味合いが大きく変わってくる。
「俺はまた、歩き出すぞ。もう何もできずに待つのはたくさんだからな。言いたいこともたくさんあるんだ。さあなにから始めてやろうか。」
[bridge]
歩き出すことを決意したデイヴの覚悟が表現されている箇所。まず前半、心の声にしたがって、犠牲を払ってでも生き残るために動き出すことを誓っている。"I'm on my knees, I'm praying for a sign"は、verse1の"signal"と対応していると考えて、遠くからカートが俺に力を与えてくれるように祈っている、を意味するのだろう。這いつくばって跪いて、カートの後押しを受けて力強く立ち上がる、という感じのモーションが想像できる歌詞とサウンドと歌い方が最高にマッチしていてとても格好良い。
そして後半、見ての通りとにかく「死にたくない」って言いまくってる。"I'm dancing on one's grave"という慣用表現があるらしいけど、べつに文字通り「たとえ俺の墓を用意されようが、俺はその上で踊ってやるよ。」と訳しても違和感がない。「誰に引導を渡されたって、絶対に音楽を辞めない。俺は死んだりしない。俺はここを離れない。」
心からそうであってほしい。
[chorus3]
同じサビが3回目。だけどメッセージがさらに揺るぎないものになっている。こういうのが本当に好き。サビの歌詞は何回も同じ繰り返しなのに、伝えてくるモノが毎回重みを増していく。安直にラスサビもう一回同じこと歌っとけばいいやみたいな発想の曲は淘汰されてほしい。
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解釈おわり。
主観的すぎて、解釈というよりむしろ意味付けという感じになってしまった。
自分がこの曲をこの言葉選びで書いたのなら、こういう意図があるに違いないという想像でしかないな。
自殺したカート・コバーンにむけて「俺は死にたくない!だから力を貸してくれ!」って祈るの、これはもうデイヴ・グロールにしかできない祈りだね。羨ましい。
今年はクリス・コーネルもチェスター・ベニントンまでも自殺してしまったせいで、僕は完全に鬱に飲み込まれたから、この曲が最近の僕の救いになっている。だから紹介せずにはいられなかった、この記事を何人が読んでくれるのかはわからないけれど。
おしまい!