Jack White - Over and Over and Over 和訳
アルバム紹介
元The White Stripes の Jack White の2018年3月に出したソロアルバム「Boarding House Reach」を先日購入しまして、心から気に入ったので、そこからOver and Over and Over という曲を今回和訳して紹介します。1つのギターリフで最初から最後までを貫いている曲ですが、ちっとも飽きないし、とてもとてもかっこいいです。かっこよすぎて僕もコピーして家でずっと弾いています。
ちなみに同アルバムの「Corporation」という曲もおすすめです(先日youtubeでmvも公開されてたのでぜひ聴いてみてください)。
歌詞&和訳
[verse1]
[chorus1]
[verse2]
(Over and over)
[chorus2]
Who could not win the mistress, wooed the maid
With the no sign of a grave
(Over and over)
(Over and over)
[bridge]
Only telling 'cause you're asking
And I'm a glutton for the tasking
And they're never gonna find 'em
'Cause the ego's gonna blind 'em
(Over and over)
Holds the weight of the world
[chorus3]
[verse3]
The gods have all scorned me now
考察・解釈
[verse1]
シーシュポスはギリシャ神話の登場人物で、彼にまつわる神話はこの曲の解釈の軸となる。
"神々を欺き怒りを買ったシーシュポスは、罰として巨大な岩を山頂まで運ぶことを命じられた。しかしあと少しで山頂というところでいつも岩は底まで転がり落ちてしまい、この苦行は永遠に繰り返される"という神話だ。
この巨大な岩と世界の重圧が意味的に対応するが、同じくギリシャ神話に登場するアトラースという人物の、"戦に敗れた結果、天空を背負う役目を負わされた"という神話のイメージも重なっているように思う。
「我思う, 故に我あり」をもじった表現、「我思う, 故に我死す」というのは、シーシュポス的に言えば「また山頂を目指すが故に, また転落する運命を辿る」ということだろう。
「裏切り者であり敗者である俺は、世界の重圧という巨礫に押しつぶされそうになっている。」
「俺は実現し得ない理想に向かってまた欲望をぶつけるが、叶うことなどなく、何度もどん底に転げ落ちていく。」
[chorus]
愛人を口説き落とせなかった奴が今度はメイドに言いよった、というのは「俺」の過去の過ちを他人事のように扱って言う表現だろうか?
「逆境は熾烈さを増し、俺はもう限界が近い。」
「歪んだ愛情の先に待つのは、いつだって破滅だよ。」
[verse2]
イソッタ・フラスキーニはヴィンテージな高級車。
「理性のない行動。過ちの繰り返し。ガキの頃に逆戻りだ。」
「君は警告してくれたけど、俺の積み重ねた罪は、もはや償いきれそうにない。」
[bridge]
「俺は取り憑かれたように、まだ情熱を手放せず、罰せられる。」
「愛し合う者たちは、自惚れ故の盲目さにより、溺れていく。」
「俺は何度でも、世界の重圧に抗う」
[verse3]
「まるでシーシュポスのようだ。 積み重ねた罪は、もはや償いきれそうにない。」
以上
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歌詞を読んで改めて聴くと、ギターリフのバリエーションやコーラスの協和/不協和音的な響きの使い分けで、岩を持ち上げているシーンと転落していくシーンみたいなものが表現されている気がして面白いです。
なんであれ僕も世界の重圧に抗っていきたい所存です。
おしまい